現地レポート

オルシーニ  2024年10月

2024年10月、イタリア中部、ラツィオ州のオリーブオイル生産者「アズィエンダ・アグリーコラ・ビオロジカ・オルシーニ」を訪問しました。10月のイタリアと言えばオリーブの収穫と搾油の真っ最中。搾りたてのオルシーニのオリーブブオイルはどういう感じなのだろうか?興味津々でローマのテルミニ駅から電車に乗りました。

ナポリ行きの普通列車で、最寄りのプリヴェルノ-フォッサノーヴァ駅を目指します。車窓からは緑豊かな小山、ときおり白い岩肌が覗いています。ガタッゴトッとのんびりと進む列車は、およそ1時間で目的の駅に到着。駅にはシニョール(紳士)が迎えにきてくれており、車で数分のオルシーニ社に向かいます。

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事務所兼フラントイオ(搾油所)に到着すると、すでに搾油機械は稼働中。オーナーのパオラさんとパオロさんご夫婦、娘さんの3人が中心になって忙しそうに動き回っていました。「Piacere!(はじめまして)」笑顔で迎えてくれましたが、とにかく一年で一番忙しい時期なので、やることが次から次にやってくるご様子。近隣の農家も次々とオリーブを持ち込んできます。大切な搾油の邪魔にならないようまずはオリーブ畑の見学に向かいました。

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最初に向かったのは丘の斜面にあるオリーブ畑です。5分くらい進むと、オルシーニ家の住まいだという立派なヴィッラ(お屋敷)が建っていました。ちょうど外壁の修繕中でしたが、オルシーニのオリーブオイルの表ラべルに描かれている可愛いお城のような絵柄はこのヴィッラをモチーフにしているそうです。

この辺りは海岸からは30kmくらい内陸です。小高い山の中腹にある標高200mの畑には見晴らしのいい景色が広がります。栽培するオリーブは約10,000本。畑は大きく2つのエリアに分かれていて、一つは砂地のエリア、もう一つは岩石の多いエリアです。砂地のエリアには樹齢300年くらいのオリーブの古木もありました。未だ品種が判明していないオリーブもあるそうで、大学の研究所で研究対象になっているそうです。

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岩石の多いエリアではオリーブの収穫中でした。電動のハタキでやさしくイトラーナ種(このエリアの地品種)を枝から払っています。このハタキでの収穫を体験させていただきましたが、1分も持っていられないくらいとても重く、かなりの重労働だということを実感しました。オリーブ畑にはあちこちにメントゥッチャと呼ばれる小さいミントやチコリが自然に生えていて、歩くとミントのいい香りが漂ってきます。

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畑からの帰り道では「オルシーニ コンディメント・アル・リモーネ」に使われている有機栽培のレモン畑に立ち寄りました。レモンだけでなくオレンジなどの健康な実のなる柑橘畑です。オルシーニ社のレモンフレーバーのオイルは、このレモンが40%、オリーブが60%で作られています。レモンに触れてみると、その皮の香りがとても素晴らしく、レストランのシェフにも人気なのが納得です。

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搾油所に戻り、今年収穫したばかりのオイルのティスティングが始まります。搾りたてのノヴェッロ(クリーム色ラベル)、DOPコッリーネ・ポンティネ(赤ラベル)、限定品のリゼルヴァ(白ラベル)が用意されています。香りの素晴らしいノヴェッロはトマトや青りんご、アーティチョークの香り。DOPは香味のバランスが素晴らしく、今期のオイルの期待が高まります。2024年から全てのオイルはフィルターをかけているオルシーニ社。最近は良い状態を保つため長期保存にむくフィルターをかけているとのことです。

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13時ごろになると、作業中のスタッフも交代でランチをとります。この地域はモッツァレラ・ディ・ブーファラ(水牛のモッツァレラチーズ)が特産です。この白いフレッシュチーズにも搾りたてのオイルをたっぷりと振りかけていただきした。そしてもちろんパンにつけていただきます。一緒にランチを囲んだパオロさんに、このタイミングでいろいろ質問してみました。

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自社農園のオリーブは、搾油機を綺麗に洗浄し、毎日夕方から搾油が始めるそうです。オリーブの収穫は朝から、その日一日に搾油できる分だけを収穫することに決めているとのことです。「毎日焼くパンのようにね!」搾油担当のパオロさんは、ちょっぴり疲れた顔で話していました。この連続が10月から12月まで毎日続くそうです。

「有機栽培にとっては気候がとても重要なんだ。8月は毎年オリーブ・ミバエとの戦争なんだ。今年は夏は暑かったからミバエがまったく発生しなかったので、オリーブがとてもいい状態だよ。見ての通り実がとっても綺麗だよ。有機栽培にとっては、害虫が発生しないのはとてもありがたいよね。」「オリーブオイルを搾った後の搾りかすは発酵させて堆肥にし畑に戻すんだよ。だからオリーブの木もみんな元気だ。」

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フラントイアーノ(搾油人)であるパオロさんに、搾油機について聞いてみました。「搾油開始からオイルになるまでは、だいたい4時間から4時間半。2段階方式と、2段階方式半と使い分けます。今年は2段階方式のみ。オリーブはコルテッリ(ナイフ型)で粉砕してるよ。」と専門的な話をどんどんしてくれます。オリーブ畑は50ヘクタールで、毎年平均で20,000リットル(500mlボトルで40,000本)の生産量とのことです。

オルシーニ家のおすすめの食べ方も聞いてみました。「やっぱりグリルしたお肉!それからスープ、いろいろな野菜、豆類、魚は特にマグロがいいね」。パオロさんはお喋りしながらあっという間にランチを食べて、絶え間なく動いている搾油所の方に移動していきます。

駅に着いた時から案内してくれているシニョール(オルシーニ家と家族付き合いの元大学教授)もいろいろ説明してくれました。「ムッソリーニの時代、この辺りの土地の開墾をするために水牛が用いられていたんだ。水牛がたくさんいるから当然ミルクもとれたわけで、そこで生まれたのがこのあたりの名産、モッツァレラ・ディ・ブーファラなんだよ。ここのオリーブオイルにピッタリによく合うんだよね。」数年前までは水牛(ミクルのでない牡)のカルパッチョで食べていたようです。

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そしていよいよ稼働中の搾油所の見学です。とにかく大音量のため、搾油所に入る時はみな耳栓をします。「ほら、ちょうど搾りたてのオイルが出てくるよ!」促されてチューブの先を見ていると、緑色の雫から、あっという間に液体が出てきました。とても綺麗な、蛍光緑の白濁した翡翠色のオリーブジュースです。実からオイルになったところを見ると感動します。

倉庫で、弊社がオーダーしたノヴェッロ・オリーブオイルを箱詰め中でした。パオラさんは、注文を受けたり来客の接客をしたり、事務所と搾油所を行ったり来たり。フラントイオの外に出ると、自社畑で収穫したばかりイトラーナ種のオリーブが、夕方から始める搾油に合わせて運びこまれてくるところでした。忙しい一日はあっという間に進みます。

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一通りの見学を終え、オルシーニ家の皆様に見学の感謝とご挨拶をしました。オリーブの実を粉砕して搾っただけの、まさにオリーブのジュースというのにふさわしいオルシーニのオリーブオイル。搾油方法、技術は変わったにせよ、何千年も前からこうやって当たり前のようにイタリア人の生活とともにあるオリーブオイル。ローマ時代などはどうだったのだろうと想像しながら、帰りの列車に乗りローマまでの帰途についたのでした。

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